女性役員日本新聞協会0% 日本民間放送連盟0%とは?

「日本新聞協会0% 日本民間放送連盟0% 日本放送協会8.3%」

この数字は何を表しているか。これは、21世紀のいま、日本のメディアにどのくらい女性役員がいるかを示す数字である。この数字を聞いた私は驚きあきれ、二の句が告げられなかった。

2020年8月18日、第一衆議院会館で、政府の男女共同参画政策関係局と全国フェミニスト議員連盟国際部との意見交換の場でのことである。

ほかにも「202030(2020年までにあらゆる政策決定の女性を少なくとも30%にする)」、「避妊薬や中絶」、「女性差別撤廃条約の選択議定書」などほとんど進捗が見られなかった分野について、その理由を問うても答えは要領を得なかった。がっかりしつつ、「頑張ってください、ともに頑張りましょう」と呼びかけるしかなかった。

以外、項目ごとに印象に残ったことを紹介する。
1.予算と人員
男女共同参画局予算は10億4千万円。昨年比2億7千2百万円の増。組織としては、暴力
対策室を課に格上げして人員強化を図った。

2.今年度新規事業の予算(話題にはならなかったが記録すべき数字だ)
DV被害者等セーフティーネット強化支援パイロット事業に2億5千万円。危険度判定に基
づいて機関の連携による被害者支援及び加害者厚生プログラムに関する調査研究に500万円

3. メディア
すべての女性が輝く社会づくり本部文書「セクシュアル・ハラシメント対策の強化について~メディ
ア・行政間での事案発生を受けての緊急対策~」に、メデイア分野の政策・方針決定過程への
女性の参画拡大を要請との記載があった。その要請の結果を問うた。回答は「第5次男女共同
参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)p83を読み上げた。すべて2019
年の数字。
【放送業界における管理職に占める女性の割合:民間放送15.1%、日本放送協会9.1%】
【メディア関係団体の役員に占める女性の割合:日本新聞協会0% 日本民間放送連盟
0% 日本放送協会8.3%】
【新聞・通信社の記者における女性の割合は21.5%】

2020年まであらゆる分野の政策決定に女性を少なくとも30%と目標を立てたのではなかったか。
「役員など女性がいないか、いても1人だろう」と驚きあきれた私は、本記事の冒頭にも載せた。
  
4.コロナ禍でのDV相談等
相談は4月3割増、5~6月2割増だった。「DV相談プラス」として電話・SNS・メール相談を4
月20日から開始、対応言語は10か国語。

5. 保育・教育の教材・啓発資料づくり
民間からの提案を募集してつくるとのこと。そこで、こちらから、すでによくできた絵本等もあると、評
判のいい3冊(北沢杏子著など)を見せた。それらを子どもたちへの推薦図書候補にどうかと具
体的に提案した。

6.養育費
橋本大臣(オリンピックとともに男女共同参画政策担当)が特に力を入れていて、不払い解消
検討会を設け、厚労省とも連携し、弁護士と家族法研究会で法改正に向けて検討中、だと言
った。ヨーロッパへの視察、立替事業を始めた明石市への聞き取りなどを行っているそうだ。

7.女性が主体的に行う避妊
学校の性教育で、ピルについて扱い、コロナ下で若年妊婦が増えていることに対応し、アウトリーチ相
談を始めた。

8. 固定的性別役割分担意識
幼少期から、男も女も意識改革が進むよう、民間の取り組みを広報し、改革を強化したい。

9.岡村隆史発言
橋本大臣が4月28日「コロナで経済的に苦しくなったからといってそのような事態にならないよう
対策を講じていく」と答えた。メディアの意識改革に力を入れていきたい、とも。

政府が、女性差別撤廃や男女平等推進をどの程度しているか、していないかを垣間見ることができたという点では有意義だった。

早速、私の住む荒川区のDV相談支援センター(内閣府のHPの一覧表にあった荒川区のセンターHPは存在してなかった。同区に確かめたら「HPを新しくしたので」と言い訳をした)に現状を問い合わせたり、詳しい説明を求めて男女共同参画局に電話したりしている。

女性が生きやすい世の中にするために、私はもっと動かなければとあらためて確信した。

政府側は内閣府男女共同参画局、外務省、厚生労働省、法務省、文部科学省の職員19人。私たちは7人。私たちがあらかじめ男女共同参画局宛に提出していた質問に政府側が答え、その後に私たちの意見や質問を出す方法だった。なお、約1時間の意見交換会は、大河原雅子衆議院議員事務所に意見交換会の設定を依頼して実現した。
(フェミニュース 三井マリ子主宰 に寄稿)

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