一般質問2010

1、「新しい公共」についての見解を問う
2、地域支えあい活動の活性化について
① 温かい地域コーディネーター養成講座
② 地区活動の拠点づくり
3、介護施設における地域交流事業と看取りについて 
① 子ども・住民との交流促進
② 障がい者雇用
③ 本人・家族の希望を受け入れた看取りの実施 
4、暴力のない地域づくりについて
① 配偶者暴力対策のための計画策定にあたって
② 言語力教育の推進と教員の意識改革
③ 暴力の連鎖をくいとめる環境づくり
5、冒険遊び場推進計画について
6、荒川区における生物多様性保全について、
① Cop10の広報や住民参加のいきもの調査等の実施
② 保育園幼稚園学校での取り組み


2010・2定 一般質問
民主党・市民の会の瀬野喜代です。温かい地域社会づくりを通じて幸福実感都市の実現を目指す区の姿勢に大いに期待する立場から、質問します。よろしくお願いいたします。
先日荒川区自治総合研究所が出版した本の中で神野直彦さんは「豊かな自然、人間の触れ合いと絆が幸福をつくる」と、そして西川区長は「不幸な人を減らすこと」をめざすとおっしゃっています。また、菅直人首相はも「最小不幸社会をめざす」とし、「ある程度以上幸福になるのは個人の努力によるべきだが、多様性のある人々の住む社会で、個人の力だけではうまくいかない問題に関しては、政治で解決する」と言っています。頑張れば努力が報われる社会で、なおかつ、うまくいかなくても何とか暮らせるセーフティネットのある幸福な社会をめざしたいものです。
初めに、今後の行政の在り方としての「新しい公共」について伺います。「大きな公共」「小さな政府」がキーワードです。
人々の支え合いと活気のある社会。それをつくることに向けたさまざまな当事者の自発的な協働の場が「新しい公共」です。人を支える役割を、『官』だけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっている一人ひとりにも参加してもらい、それを社会全体として応援しよう、企業やNPOをはじめ民間の様々な主体と行政が連携して、新しい公共をつくろうというものです。官の下請けとしての民ではなく、区と区民および民間がどのように協働していくかが問われていると思いますが、荒川区の認識を伺います。
新しい公共の先進事例として我孫子市の「提案型公共サービス民営化事業」があります。1000以上の市のすべての事務事業について民間から民営化・民間委託に関する提案を募集する試みを始めています。荒川区では区と区民との協働が区政経営戦略プランに掲げられましたが、区職員の意識改革が伴っていない場面に遭遇します。民間から提案があった時、その協力したいという気持ちに寄り添い、その通りではなくとも、何らかの形で協力してもらう、次につなげる姿勢が必要だろうと思います。現状は、区民・民間と協働しようとする区職員の意識改革と体制がいまだ十分ではないように思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。
次に、孤独を減らす温かい地域づくりのための地域支えあい活動の活性化についてお尋ねします。地域支えあい活動は、すでにさまざまな形で展開しているとは思います。しかし、 民生委員もなり手が減り、町会も高齢化していますし、高齢者の孤独死や孤立した子育て、自殺の増加が社会問題にもなっています。区制改革懇談会でもコミュニティの在り方の検討が行われ、高齢者福祉ではころばん体操やお達者ランチのリー ダー、認知症サポーターや介護予防グループリーダーなどを養成し、社協では福祉お仲人さん、いきいきサロンをはじめ様々な担い手を養成しています。地域猫活動も 野良猫に癒しを求める孤独な高齢者と関わりがあります。これら様々な活動の担い手をネットワーク化すれば、温かい地域づくりのための小地域支えあい 活動の活性化ができるのではないでしょうか。区全体での取り組みだけではなく、小地域・地区で顔を合わせてネットワークを強める取り組みが必要です。そのためには、専門家であるコミュ ニテイ・ソーシャル・ワーカーの配置と共に、在住在勤者を対象とする温かい地域コーデイネーター養成講座を提案したいと思います。地区ごとに、区職員、社協、介護職やふれあい館職 員、町会、ボランテイア、をはじめ様々な区民に参加を呼びかけ、養成講座をおこない、出会いの場をつくったらどうでしょうか。人々が出会えば、新しい活動が生まれ、ネットワークが強化され、地域で支えあいがより活発になります。中学校区に一人コミュニティ・ソーシャル・ワーカーが配置されている豊中市では、小学校区福祉委員会をつくり、広報誌の発行や見守りや声かけ、いきいきサロンや会食会、子育てサロンのほか、ごみ屋敷の片づけとその後の支援、外出支援、話し相手、病院のつきそい、などなど実に様々な支えあい活動をおこなっています。ぜひ、荒川区でも、担い手づくりとして温かい地域コーデイネーターの養成を始めてほしいと思いますが、見解を伺います。
さらに、地区活動のネットワークができる過 程で、地区の活動拠点も必要になります。職員が常駐し、孤独な高齢者が立ち寄る可能性もある、ふれあい館を地域福祉の拠点に位置付けることも有効ではないでしょうか。区が、地区の事情に合わせて、拠点をつくり、地域支えあい活動を活性化する小地域福祉の構想を持つべきだと思いますが、見解を求めます。
3番目に介護施設における地域交流事業と看取りについて伺います。 
介護施設に入ると地域社会との交流が少なくなり、職員は日々、単調な日常にならないよう努力を重ねています。入所する中で生きる意欲が途切れる高齢者もいると聞きます。人との触れ合いと絆が幸福をつくるという観点から、入所者に幸福を感じてもらう交流事業を区として推進すべきではないでしょうか。子どもたちの訪問はお年寄りが一番喜ぶといいます。子どもにとってもよい教育になります。保育園・幼稚園・学校側がきちんと位置付けて取り組むべきと考えますが、見解をうかがいます。
現状において、区から区立特養やデイサービスにのみ予算がついているのは、民間と比較すれば不公平ではないでしょうか。区立かどうかを問わず、すべての介護施設に対し、地域交流を促進するよう、支援するべきであると思いますがいかがでしょうか。
また、地域交流事業の一つに、なつかしい歌を地域の人が訪問して合唱する歌声サロンがあります。音楽療法が、身体的、精神的な効果が認められているように、歌を歌うことは重症化予防にもなります。ご近所の元気高齢者と話がはずむのも意義深いことです。参加する区民にとっても、喜ばれることの生きがいと歌を歌う介護予防として位置づけられます。歌は荒川区にも愛好者が多く、事業展開が見込めます。地域交流事業はいろいろありますが、だれもが参加しやすく体にも心にも効果がある歌での交流は温かい地域づくりにぴったりだと思います。
「介護施設で歌声サロン」を、温かい地域づくり・幸せの歌声あふれる街荒川をめざし、ころばん体操のように区の呼びかけで展開したらいかがでしょうか。検討をお願いします。
また、介護施設で障がい者が働き、交流することも意義があると思います。障がい者が介護職の資格をとっても雇用にはなかなか結びつかないのが現実です。清掃の仕事も区役所での雇用など、区が推進していますが、介護施設への取り組みも考えられます。区が仲介をして、まず研修の受け入れをお願いしてはどうでしょうか。
 次に看取りについて質問します。   
人生の最後をどのように迎えるか関心が高まっているようです。在宅で亡くなることが多かった昔とちがって病院に運ばれて最後を迎える人が8割におよぶといいます。医者の側からも、安らかな旅立ち方として、また、無駄な医療費削減として問題提起がされています。近頃出版された「口から食べられなくなったらどうしますか 平穏死のすすめ」という特養ホームの勤務医の著書は大きな話題になっています。区内の高齢者の集まりでも、無駄な延命治療はしてほしくない、チューブにつながれた最後はいやだと話題になります。新しい特養では看取りが謳われていると聞きます。区内のある特養ホームでは、入所者の8割は施設での看取りを希望しているとのことです。しかし、まったく看取りを行っていない施設もあります。本人や家族の希望に沿って、医療との連携の課題などを整理し、既設の特養でも看取りがおこなえるよう働きかけてはいかがでしょうか。
4番目に、暴力のない地域づくりについて質問します。  
内閣府の2008年「男女間における暴力に関する調査」では、配偶者から身体的暴行・心理的攻撃・性的暴力を受けた女性は33、2%に上ります。また、10代20代に交際相手から身体や精神的、性的な暴力を 受けた女性のうち、13.3%が仕事をやめたり転職し、10. 9%が引っ越しするまでに追い込まれていたという結果が報告されています。
こども虐待の悲惨なニュースもあとを絶ちません。これらの事実の背景には、暴力を許す社会風土があると思います。悪いのだから暴力をふるわれて当たり前、愛情があれば多少の暴力はかまわないという暴力容認の意識が若い世代へのアンケート調査でも明らかになっています。
このような社会の中で、今、荒川区は配偶者暴力対策のための計画を策定しようとしています。私が、一般質問で基本計画の策定を求めたのは一昨年、23区の中でもいち早い取り組みを歓迎したいと思います。計画案の中では、基本理念に「暴力のない幸福実感都市の実現に向けて、区全体で取り組みます」と第一に掲げています。荒川区ならではの、根源的に暴力をなくす取り組みを行い、暴力に触れないで暮らせる、安全・安心の荒川区をめざしてほしいと思います。基本計画では自治総合研究所との連携もあげられています。貧困問題とも関連があるでしょうし、女性の人権が尊重されていない社会は、女性に対する暴力を生み出しやすい構造であるという観点をさらに研究して取り組んでほしいと思います。暴力防止には、区をあげてのキャンペーンや、教育現場のほか、人生の各ステージでの啓発が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、何よりも、着実な配偶者間暴力防止の施策展開を願っていますが、この問題については、民間支援団体がいままで実績を重ねてきました。民間支援団体のシェルター機能や自立支援事業を新しい公共の担い手として支援することが必要だと思いますが、見解をうかがいます。
次に、学校現場での暴力防止の取り組みを伺います。
文部科学省の2008年度調査で、学校内外での小中学生の暴力行為が過去最多となりました。普段はおとなしい子がキレる例が目立つといいます。文科省は、暴力行為増加の背景として、感情を抑える力や他人と意思疎通を図る能力の不足、規範意識の低下などを挙げています。「問題を起こすのは、自分を大切にせず自信を持てない子に多い」と教育関係者が指摘しています。携帯電話やパソコンでの有害サイト、テレビゲームの利用状況と、暴力行為との因果関係などを調査し、分析していく必要性もいわれています。
今回、文部科学省は、新学習指導要領で、初めて全教科で「言語力」育成を前面に打ち出しました。ぜひ、暴力ではない自己表現を学ぶよう積極的に取り組んでほしいところです。しかし、教員の暴力に対する意識は大丈夫でしょうか。不登校の原因の一つに「担任の暴力的な言動が怖い」が挙げられています。部活動などで、体罰まがいの強い指導を歓迎する保護者がいることも現実です。内閣府の調査で、既婚の男性の三分の一がなんらかの暴力をふるっているという事実を考えると、教員の意識改革がまず必要ではないでしょうか。なぜ、若い世代にも暴力容認の気風が強いのか、学校での対策を考えてほしいと思います。非暴力、対暴力について取り組んでいる、NPOなど市民団体の協力も得て、キレない子どもを育てる教育、暴力を許さない人間を育てる教育を実践してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、暴力の連鎖をくいとめる環境づくりについて伺います。
 暴力をふるう子どもは、身近に暴力に接しているといわれます。攻撃的なしつけは暴力と同じです。家庭の中で暴力を許さないという規範と愛情を注ぐことの大切さと育児法を子どもを授かった夫婦へ、乳児検診の時の育児検診で、子育てサロンで、保育園で、幼稚園で、伝えてほしいと思います。また、孤立しないこと、相談することも大切だと伝えてください。
子どもたちにも暴力は絶対にいけないことであり、親子間でも、友達同士でもあってはならないことだと教えてください。そして、これは学校にもお願いしたいと思いますが、自分が暴力を振るわれた時、あるいは振るいそうになった時の相談窓口を伝えてほしいと思います。いかがでしょうか。
 
5番目に冒険遊び場推進計画についてうかがいます。
私は3月の予算委員会で子どもが外で自由に群れ遊ぶ経験の欠如が、子どもの危機をもたらしている.という日本学術会議の提言を紹介しました。日本学術会議が、真っ先に提案しているのが、冒険遊び場づくりです。
NPO法人冒険遊び場づくり協会では、「自分の責任で自由に遊ぶ」という観点から、公園等を利用した子どもの冒険遊び場づくりを進めてきました。荒川区内でも、社会教育団体であるあらかわ冒険遊び場の会が、区の公園緑地課と社会教育課の協力を得て、西日暮里公園において毎月第2日曜日に冒険遊び場を運営し、子どもからお年寄りまで多世代の交流の場となっています。まさに区と区民の協働で取り組む新しい公共の事業であり、地域づくりに貢献しています。子どもの育ちを考えた時、子どもが自分で行ける身近な場所に冒険遊び場があることが重要です。常設型あるいは巡回型の冒険遊び場を区内各所に展開することが必要ではないでしょうか。
そこで、こどもの外遊びの重要性についての区の認識をうかがいます。また、子育て支援の中に冒険遊び場を位置づけ、推進計画を区民との協働でつくることについての見解をお聞かせください。
最後に、荒川区における生物多様性保全について、うかがいます。
 今年10月、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開催されます。生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすものです。サンゴを食い荒らす鬼ヒトデからアルツハイマー治療薬が開発されたり、白神山地でみつかった天然酵母で作ったパンが大人気になったり、生物多様性には、限りない可能性が秘められています。人間だけが地球で大きな顔をしていてはいけないと思います。国連では1992年5月に「生物多様性条約」がつくられ、日本を含む193ヶ国とECがこの条約に入り、世界の生物多様性を保全するための具体的な取組が検討されています。
自然が少ない大都会の荒川区だからこそ、少しでも、自然に関心をもち、環境保全を考える機会として生物多様性と名古屋会議を広報する意義は大きいと考えますが、いかがでしょうか。
そしてこれを機に、区民参加の取り組みを考えるべきです。品川区が2007年から行っている蝶を増やすために餌となる植物を植える蝶の道プロジェクトも夢のある取り組みです。都立尾久の原公園ではトンボが減ったのではないかと言われています。荒川区でもまず、生き物に興味をもってもらい、実態を調べるための生き物調査などを呼び掛けてはいかがでしょうか。
さらに学校・幼稚園・保育園での取り組みをうかがいます。生き物の多様さを知り、命の大切さを考える教育・保育は今までも、取り組まれてきたと思います。自分のいうことを聞くとは限らない生き物と接することで我慢を学ぶともいいます。ただ、教育現場で若い教員の実体験のなさが問題になっています。自然大好き、生き物大好きの大人の存在は、子どもの興味を伸ばします。逆に、無理解、無関心な大人の言動はこどもの興味の目をつんでしまいます。先生自身に生き物と接した経験がないと授業の組み立ての巾が狭くなる心配があります。そこで、伺います。
各学校で生き物大好き教員の適正な配置が考慮されているでしょうか。
自然の中での遊びを体験させる生き物大好き保育士の養成が今後は必要ではないでしょうか。
また、研修などもNPOや地域の人材と連携して生き物大好きの感性を育てる工夫が必要ではないでしょうか。見解を伺います。

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