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都市計画マスタープランの中間報告

 11月7日、都市計画審議会が開催された。
 南千住一丁目・荒川一丁目地区の地区計画については、すでに、建設環境委員会報告(「初めての高さ制限」6月27日)したとおりだが、この日、審議会として答申が決まった。
 寄せられた意見の中に「審議会メンバーに現地視察を」があったせいか、現地見学もあった。「住民の意見集約が不十分」という意見もあったので、私は、「寄せられた意見にある、アンケート面接で周知状況を把握したらどうか」ということを今後の参考にして欲しいとお願いした。
 荒川区都市計画マスタープランの中間案については、10月28日の建設環境委員会でも説明があった案件である。そのときは、建物の高さ制限を地区計画で実施するだけでなく、区としての対応も含め、マスタープランに盛り込んだ旨を確認した。私が、「すでに7区で実施していた絶対高さ制限の検討を」と一般質問し、「地区計画でなら」との答弁だったのは2005年だったが、やっと区も、「絶対高さ規制を導入する」としたようだ。「日暮里1・2丁目のみが日影制限がないのが何故か?見直しは?」と質問したところ、住民からの意見が出れば検討も考えるということだった。
 審議会の場では、自転車道の取り組みに就いて質した。南千住地域は「歩行や自転車通行の安全性の向上のための整備」とあり、その他の地域は「歩行や自転車通行の安全性の向上のための歩道整備」と記載が分けてある理由を聞いたら、「南千住以外は無理だから」という。たしかに、荒川区の道路は狭い。けれど、将来にわたって自転車道の整備をあきらめてしまってはならないと思う。
 座長からも、「今後は、道路は車優先という考え方が転換するかもしれない」という発言もあって、「そうだよ!!」とうれしくなった。

マンション耐震問題対策

 今日の建設環境委員会で、マンション耐震問題対策について報告があった。
 
 再計算の結果、構造耐力0.66と報告されたグランドステージ町屋が、実際はどのくらいの耐震性があるのか、区が社団法人東京都建築士事務所協会荒川支部に特命委託して、調査することになった。コンクリートコア抜き・圧縮強度試験・電磁式探査機による鉄筋本数調査などの現地調査をふまえたうえでの耐力調査である。3月24日までの委託期間で、予算は500万円には届かないくらいらしい。この結果をもとに、耐震補強工事へとすすむ方向だ。
 建築確認を行った区としての責任もあるので、調査については区が負担するが、今後、耐震補強工事の費用については、国の動向も見ながらということになる。
 あくまでも、第一義的に責任は建築主のヒューザーにあるわけだが、先ほどのテレビ中継では、「負債も合わせて70億の資産」と小嶋社長は証言していた。
 
 民間による建築確認が始まってからの、荒川区での申請件数は次のとおりだと区から資料がだされた。
H11年度  区確認 531  民間確認 1 
H12          596         11
H13          492         38
H14          429        118(うちイーホームズ33)
H15          373        172(           49)
H16          271        238(          100)
H17(11月末現在)147        252(           93)
             (イーホームズはH14、10月より事業を開始)
 イーホームズは仕事が速いと評判で、建築確認数は、他社より多かったらしい。
 建築業界では、建築確認のしくみが問題だと、何度も問題になっていたらしい。民間検査機関で建築確認をするのは、国の認定を受けた、「確認検査員」だが、東京都やゼネコンのOBが多いらしい。構造の専門家ではないのである。
 荒川区にしても、2人の一級建築士が検査を行っているが、決して構造屋といわれる、構造の専門家ではない。
 一級建築士30万人いる中で、構造の専門家は1万人や2万人という数(前回、私は6%と紹介したが、それくらいの割合なのだろう)しかいない。建築確認をきちんと行えるのは、構造屋さんだけなのではないか。それを、国が、いい加減な資格を与えるから、今回のように、「すぐ壊さなければいけないような建築物」の構造計算の偽造もみつけられない民間検査機関があるのではないか。
 委員会の中で、「官から民へ」の動きで、偽造問題が起こったと指摘する意見があった。官ならば偽造を見抜けるのだろうか。
 国が、民間に解放するときに、構造に詳しくない建築士にまで、資格を与えた事が、問題だったのではないか。官でも、民でも、構造に詳しいといえる専門家が、建築確認をしているわけではない現状を何とかしなければならないのではと思う。
 建築基準法の改正が2月下旬メドとされているらしいが、注視していきたい。
 ・建築確認における構造計算書等再確認調査補助事業について
 

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耐震偽造問題

 昨年発覚した耐震偽造問題は、荒川区でも、今年第一の課題となるだろう。
 姉歯建築設計事務所が構造設計を行った「グランドステージ町屋」について12月1日、建物耐力は0.72、震度6強まで耐えうると発表された。
 12月27日には、「荷重などを精査した調査の結果は0.66、震度6強まで対応できる」と訂正の文章が送られてきた。1月から実際の建物の耐震診断を行う。
 区が建築確認を行った建物なので、費用の半分は区が負担するといわれている。
 
 建築士の6%しかいないという構造の専門家に話を聞くと、構造設計計算書にもとづいた図面を見ればわかるはずなのに、自治体には専門家がいないし、民間は手間を惜しんで見ようとしないのが現状だという。施工業者も気づくのが普通。係わった事業者すべてがグルだ。
 建築基準法は最低の基準にしかすぎないことは理解してほしいという。安全な建物は、鉄筋ならもっと太くしなければならない。
 「建築業界は手抜き工事が前提なので、設計時は3倍の強度がでるように設計するものなのです」とまで言う専門家もいる。
 何が本当なのか・・・・。建築業界の実態、確認検査機関の実態を、真相究明して再発防止への取り組みをお願いしたい。