マンション耐震問題対策

 今日の建設環境委員会で、マンション耐震問題対策について報告があった。
 
 再計算の結果、構造耐力0.66と報告されたグランドステージ町屋が、実際はどのくらいの耐震性があるのか、区が社団法人東京都建築士事務所協会荒川支部に特命委託して、調査することになった。コンクリートコア抜き・圧縮強度試験・電磁式探査機による鉄筋本数調査などの現地調査をふまえたうえでの耐力調査である。3月24日までの委託期間で、予算は500万円には届かないくらいらしい。この結果をもとに、耐震補強工事へとすすむ方向だ。
 建築確認を行った区としての責任もあるので、調査については区が負担するが、今後、耐震補強工事の費用については、国の動向も見ながらということになる。
 あくまでも、第一義的に責任は建築主のヒューザーにあるわけだが、先ほどのテレビ中継では、「負債も合わせて70億の資産」と小嶋社長は証言していた。
 
 民間による建築確認が始まってからの、荒川区での申請件数は次のとおりだと区から資料がだされた。
H11年度  区確認 531  民間確認 1 
H12          596         11
H13          492         38
H14          429        118(うちイーホームズ33)
H15          373        172(           49)
H16          271        238(          100)
H17(11月末現在)147        252(           93)
             (イーホームズはH14、10月より事業を開始)
 イーホームズは仕事が速いと評判で、建築確認数は、他社より多かったらしい。
 建築業界では、建築確認のしくみが問題だと、何度も問題になっていたらしい。民間検査機関で建築確認をするのは、国の認定を受けた、「確認検査員」だが、東京都やゼネコンのOBが多いらしい。構造の専門家ではないのである。
 荒川区にしても、2人の一級建築士が検査を行っているが、決して構造屋といわれる、構造の専門家ではない。
 一級建築士30万人いる中で、構造の専門家は1万人や2万人という数(前回、私は6%と紹介したが、それくらいの割合なのだろう)しかいない。建築確認をきちんと行えるのは、構造屋さんだけなのではないか。それを、国が、いい加減な資格を与えるから、今回のように、「すぐ壊さなければいけないような建築物」の構造計算の偽造もみつけられない民間検査機関があるのではないか。
 委員会の中で、「官から民へ」の動きで、偽造問題が起こったと指摘する意見があった。官ならば偽造を見抜けるのだろうか。
 国が、民間に解放するときに、構造に詳しくない建築士にまで、資格を与えた事が、問題だったのではないか。官でも、民でも、構造に詳しいといえる専門家が、建築確認をしているわけではない現状を何とかしなければならないのではと思う。
 建築基準法の改正が2月下旬メドとされているらしいが、注視していきたい。
 ・建築確認における構造計算書等再確認調査補助事業について
 


 区が建築確認を行った建物について過去5年間に遡り、木造を除く建築物の再確認を行う。(800件)
  民間確認機関による400件については、所有者や管理組合の申請があれば、建築士協会荒川支部に再確認調査を依頼。経費の半額を補助する(3万円が上限)。2月1日から3月31日まで。
 
◎今後、区で建築確認を行うために、構造計算ソフトを購入。200万円。
 来年度、非常勤職員を1人(建築確認を担当していたOB)雇用する。

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