請負と派遣<給食の委託>

 昨年3月から製造業にも人材派遣が拡大されたことに伴い、労働局では、請負・派遣適正化キャンペーンを行っている。
 学校や保育園の給食は業務委託=請負として位置づけられ、委託内容が決まれば、それをどのような人事で行うかは、発注主(区)が指示することはできない決まりである。
 東京労働局の見解では、仕様書に調理員や栄養士等の資格を書くのはかまわないが、経験何年以上と書くのは、個人の特定につながり、「派遣」となるので、好ましくないという。ただし、プロポーザルなどにより、事前に企業の意向が確認できていれば差し支えないのだという。
 「いい給食をつくってもらうためには、学校や保育園での経験豊富な調理師でないと」という当然の保護者の願いを、仕様書に反映させることは、法律違反となる可能性があるのである。
 給食は、化学調味料をつかわず、すべてに手づくりを優先させている。食材は国産に限り、できれば泥つきの有機野菜を使いたいところである。ふつうの大量調理に慣れている調理師では感覚が違うはず。
 学校や保育園を専門とする調理師・栄養士により構成される企業ならまだしも、冷凍食品を使う一般企業の食堂と人事交流があるような企業で、大丈夫なのかと心配してしまう。
 また、請負契約では、業務中に発注主から直接指示を受けることがないよう、あらかじめ書面が作成されていなければならない。だから、保護者説明会で「当日のこどもの体調に合わせた調理内容の変更を、保育士から調理に指示ができるのか」という質問に対して、区は「連携のために会話を交わすのは指揮命令でなく、コミュニケーションである」と答えている。
 仕様書に、こどもの成長や体調に合わせた給食の提供と書けば、指示はコミュニケーションになるらしい。
 区に所属する栄養士は、調理の出来具合のチェックしかできない。学校で栄養士が、調理室に入って一緒に調理していると聞くが、これは法律違反なのである。子ども達にいい給食をと思うと法律違反になるという、栄養士の痛みが、なんとも空しい。
 こどもの食をあづかる、大切な仕事に従事してもらう人たちである。食育の大切さが叫ばれる今日この頃、低賃金で入れ替わりが激しい職場だなどということのないように、自治体もいい業者を育てるよう対策をとり、社会も認識をもつ必要があるのではないだろうか。

Comments are closed.