ともに育ちあうために

 あと1日で2005年が終わろうとしている。今年の締めくくりに言っておきたいこと。
 今年の荒川区の人権週間事業「講演会」
   障害のある子もない子も
     ともに育ちあうために
       
 ~今、私たちができることを考えてみませんか~   
               12月7日ムーブ町屋
 講師の海津 敦子さんは、アメリカで障害をもった子を授かり、日本に戻ってきた。アメリカでは、「あなたがどういう子育てをしたいの」と聞かれることから、支援が始まったという。しかし、日本では、障害児をもったら親は自分のしたいことはあきらめるのが当然といわれてショックを受けたという。
 障害をもつ我が子とつきあうことは、自分自身の価値観を広げること。
 できないことばかりではなく、できることに目をむけてほしい。
 荒川区の普通学級に通う、障害をもつ子の親は学校や区教委との話し合いを学期ごとにもっている。そんな時、「こんなにできないことがいっぱいある」と言い立てられるのが悲しいと何人もの親から聞かされてきた。普通学級にいることがそんなに悪いことなのか・・・と。
 海津さんの講演を教育委員会はどう受け止めただろうか
 障害をもつ子ども達を普通学級に原則受け入れようという、特別支援教育に向けて準備が始まっている。教育委員会の主催(荒川区・荒川区教育委員会・荒川地区人権擁護委員の主催)で行った講演なのだから、よく検討して実践して欲しいと切に願う。
 参加した方から寄せられた、講演のメモを紹介したい。
 


講師の方には三人の娘さんがいて、現在6・4・1年生だそうです。
姉妹三人で同じ学校に通っていますが、1年生の娘さんに知的障害があり心障学級です。
講師の方はアメリカで三人目を出産し、育児をしてきたそうです。
今は日本で生活をしています。
アメリカでのセラピーは
 *どのような家族になりたいですか?   ということをまず聞かれるそうです。
 *買い物は出来ていますか?
 *夫婦でデートはできていますか?
 *兄弟はどうですか?
など、たくさんのことを聞かれ、「買い物の時に手をつないで歩きたい」と親が希望すれば
それに向けての訓練をするそうです。
セラピーは子どもが一番慣れている自宅で行われるとのこと。
2歳のころに「偏食が激しい。嫌いなものは捨ててしまう」と相談。
すると、『食べるものを選ぶことができている。選択できることは生きる上で大切なこと』と返ってくる。
                     ↓
       娘への見方が変わる。親の気持ちもらくになる。
自分で靴が履けるようになったときに「家の中で靴を履いて歩き回って困る」と相談。
すると『ココはアメリカ。靴なんて家の中でだってみんな履いている。靴なんて履いていたって脱いでいたっていいじゃない♪』と返ってくる。
                     ↓
     「娘はアメリカ生まれのアメリカ育ち。ここでは家の中で靴を履いていてもいいんだ。」と思えた。そして気持ちが楽になった。
「娘がパニックを起こした理由が見つからない」と相談。
すると『フラッシュバックがある。何時間前、何日前、何週間前の怖かったことなどを思い出している。』と。
『それは健常者でも、悲しくなったきっかけは一つなのに色々なことを思い出し、もっともっと悲しくなってしまったりする。』
                     ↓
自分も一つイライラし始めると、チョットのことでイライラがつのったりするし、同じなんだな。と思える。
アメリカで暮らしている間は障害を持っている事での差別は感じたことがなかった。
日本に戻り、療育センターでの親たちとの会話でショックを受けた。
「親は子どもたちのために、自分の夢を切り捨てていかなければならない」と親が話している。
それに日本の行政の考え方に驚いた。
座っていられる子は○、座っていられない子は×。
障害児がいる働く母親は×、働かずに子どもの面倒を見る母親は○。  だという。
本を書こうとしたときに、「片手間なことはやめなさい。あなたはこの子の子育てに一生懸命になるべき」と言われた。
でも、アメリカのセラピーをしてくださった方に相談すると『本を書くことはあなた(母親)の仕事。障害を持った娘さんの教育・療育は私たちの仕事。』と返ってきた。
日本の先生たちと会話をするようにした。
(自分も障がい児を持つまでは何も知らなかった。きっと先生方も知らないことがあるんだ。だから、話をもっとしていこう)
先生方や行政の方たちは意地悪をしているのではなく、知らないだけ。会話をしていくしかない。
虐待を受けている53%が何かしらの発達障害を持っている子どもたちと言われている。
 親が子どもに【できること】を増やすためにやりすぎる。できないことにイライラする。
 まずできることをより一層できるようにしてあげる。
 そうしている内にできなかった部分も少しずつ引っ張られて伸びていく。底上げをさせることができる。
 出来ないことを無理にやらせるより、ずっと良い。
ココからが本題(?)
 みんなは自分自身のために障がい児とふれ合えば良い。
 周りの方は価値観を広げるために付き合ってもらえば良い。
国際社会に出た時に価値観が広い方が良い。
国によっては常識が全く違う。認め合う力を身につける。
子どもたちは障がい児と一緒にいる事で多様性を学べる。
国際社会だけではなく、祖父母の介護が必要になったときにも役立つ。
障がい児だけでなく様々な人といると、相手のことを考え想像力が磨かれる。
そしてどんな仕事にも役立つ。
特別支援教育が平成19年度から始まる。これはノーマライジェーションの役割になっている。
障がいの有無に関係なく、普通学級に関わってくる。
娘の場合は、朝と帰りの会・体育・音楽などを普通学級で行い、残りが特別支援教室になるだろうと思われる。
その子によって、週に一度普通学級で過ごす子もいるかもしれない。
私は習熟度学習と似ていると思っている。
今までの交流学習だとお客様状態であることが多い。「いらっしゃい」「おじゃまします」という関係だ。
しかし、特別支援教育では「いってきます」「いってらっしゃい」の関係になる。
みなさんに言いたいことは
障がいのあるお子さんと接した時は、その子の親がどうしたいのかを親に聞いて欲しい。
「子どもに障がいがある」と親が手を挙げた時に、親に制限が出来る・親が狭苦しくなるようなことは決してないように支援してほしい。
障がい児を持ったことがツライのではなく、受け入れ態勢が出来ていないことが本当の障害になっていることを知ってほしい。

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