2007年の一般質問

1、区民参画について区長の認識を問う
2、食育推進への区民参画について
3、ごみ減量・リサイクル推進への区民参画について   
4、こどもの自主性を伸ばす教育について
5、障がい者差別をなくす条例制定について
6、高齢者の住まいについて
質問内容と区の答え(工事中)


民主党・市民の会の瀬野喜代です。無所属市民派の区議会議員として3期目初めての一般質問にあたり、あらためて、区民参画の区政を荒川区でどのようにすすめていくか質問したいと思います。自立して政治に参画する市民は、「地球規模で考え、地域で行動する」存在として、また、持続可能な社会を模索する存在として、これからの政治を語る上で、ますます重要性を増すと考えます。
① はじめに、区民参画についての区長の認識をうかがいます。
この3月に西川区長のもと、策定された荒川区基本構想「幸福実感都市あらかわ」には、「区民の主体的な区政参画と連携強化」について「自立した区民が、主体的に自らのまちをつくりあげていく」と記されています。いままでの基本構想にはなかった、「自立した区民が主体的に」と盛り込まれたことを、評価するものです。市民活動はまさに「自立した区民が主体的に」街づくりに取り組むことだからです。区民と区職員が情報交換しながら、政策決定段階から議論を重ねていく仕組みが必要です。
ただ「荒川区だけがよくなればいい」「東京だけがよくなればいい」「日本だけがよくなればいい」という狭い発想ではなく、地球規模で情報を共有した上で街づくりに取り組み、持続可能な社会をめざすのでなければ、貧困問題・環境問題に対応することはできません。豊かな日本の首都東京の一角である荒川区では、様々な行政サービスが整えられています。それを実感できるようにするのは、まさに、「自立した区民が、主体的に自らの街をつくりあげていく」区民参画の取り組みであろうと考えますが、区長の見解をお示しください。
② 次に基本構想にも盛り込まれた区政の課題である食育推進への区民参画についてうかがいます。
食育はすべての人にかかわりがあります。健康のため、感謝のこころを育むため、日本の伝統を知るため、世界の様々な文化にふれるため、農業問題、環境問題を考えるため、などなど食育を通して、子どもからお年寄りまで学び、実践することは有意義な取り組みだろうと思います。なによりも区民が主体となった取り組みでなければ効果はあがりません。そのためには区民が参画する総合的な組織、学識経験者・専門家と意欲ある区民が議論を深める、たとえば、食育推進懇談会の設置が必要ではないでしょうか。
区民が主体的に食育に関わり、保育園幼稚園で、学校で、成人向けに、高齢者向けにと様々な場で食育推進を担い、手伝う食育推進サポーターの養成も必要と思います。また、現在、優秀な保育士、栄養士、調理師や教員によって取り組まれているさまざまな事例を集め、区内外に紹介し、「食育の荒川区ここにあり」と情報発信することも、必要でしょう。
ひとつだけ事例紹介しますと、先日お話をうかがった六日小学校の飯田先生は、18年間今まで受け持ったすべての子どもが標準量の給食を残さず食べるよう指導してこられました。少しずつでいいから無理をしないでほめて伸ばす、自分で苦手なものを乗り越えることで、やればできるという自信につながり、学習面でも意欲と集中力が増す、どの子も家庭との連携で必ず乗り越えられるとおっしゃいます。全員とは驚きましたが、すばらしい実践だと思います。一人一人にあわせた決め細やかな指導の賜物のようです。こどもの好き嫌いに困っている親御さんたちのヒントになる事例です。
こどもの教育にも、おとなの健康づくりにも、高齢者の介護予防にも、そして環境・文化にも大いに成果の期待できる食育です。区民参画の食育推進懇談会の設置についての見解をお聞かせください。
 ③ 次に、ごみ減量・リサイクル推進への区民参画についていかがいます。
日本には、1800基のごみ焼却炉があると言われています。なんと、世界中の焼却炉の4分の3が日本に集中しているのです。焼却炉は、地球温暖化をすすめ、環境汚染を引き起こすなど、多くの問題があるため、世界は焼却炉を減らす方向に動いています。
 荒川区ではこの10月からごみ回収ルール変更のモデル収集が始まります。廃プラスチックを燃やすことで焼却量が増え、さらに環境に悪影響を与えることになってしまいます。だからこそごみの量そのものを減らすことが第一だと区民に周知徹底するべきです。ペットボトルとトレイの集団回収も、一刻も早く全域に拡げ、リサイクル率を上げなければなりません。その時にも、プラスチックリサイクルには膨大なコストと環境悪化が伴うことを知らせ、買うときにプラスチック製品を避ける賢い消費行動の提言などを含め、ごみの減量の必要性を周知徹底し、区をあげて区民参画で取り組むべきです。
住民一人あたりの1日のごみ量は東京で一番取り組みが進んでいるといわれる調布市で560グラム、これに対し、荒川区は 880グラムです。さらにごみを減らす努力が必要です。環境先進区と宣言している荒川区の見解をうかがいます。
 またこの間の、廃プラスチック焼却の決定過程を見ると、東京二十三区清掃一部事務組合についての情報公開が不足していると思わざるをえません。行政改革に逆行して、東京ガスと組んで新会社を設立したことを、ほとんどの区民は知りません。議会で審議しているといっても、多忙な議長が出席して500億近い予算決算について、たった一時間で終わってしまうようです。最近ではごみ量は以前の8割程度になり、日によっては必要量の半分しか持ち込まれず、都市ガスを追加して焼いている時もあるといいます。こういった事実を区民にきちんと情報公開し、区民が参画できる仕組みを作るべきであると考えますが、いかがでしょうか。
さらに、ごみの量が減ったのなら、ごみ焼却炉の停止も視野に入れるべきです。横浜市は中田市長を先頭に市をあげてごみ削減に取り組み、2つの焼却炉停止によって、600億の経費削減に成功しました。荒川区が率先して、ごみ焼却炉の停止に向けた提言を行うべきと思いますが、区の見解をうかがいます。
④ 次にこどもの自主性を伸ばす教育についてうかがいます。
安倍内閣において教育の見直しが叫ばれております。昨日も教育三法が衆議院において残念ながら強行採決されました。こどもを型にはめる押し付け教育を促進するようで心配です。
OECD(経済協力開発機構)が15歳の生徒を対象に行った国際学力テスト(PISA)調査の結果、日本が読解力部門で2000年8位から2003年14位に下がったと話題になりました。そこでゆとり教育の見直しがいわれるようになったわけですが、このテストで連続3年間世界一となっているフィンランドの授業時間は、世界一短いのです。競争ではなく「協同学習」で、自分で学ぶ意欲を持ち、自分で考える力をつける教育をめざしています。とりわけ特徴的なのは、問題解決能力、数学、読解力、科学のどの分野においても、レベル1とされるこどもの少なさです。ようするにおちこぼれが少なく、自ら学ぶ意欲が高いということでしょう。
経済協力開発機構では、21世紀には知識の詰めこみではなく、生徒達の創造性、批判的思考力が必要として、テスト内容を方向転換しました。詰め込み知識のテストで世界一であった日本の生徒が、これからの国際社会で必要とされる、創造力を測るものさしに変わったテストでは低い評価になってしまい、とりわけ、読解力の分野でそれが顕著に現れたようです。フィンランドの教育理念は「生涯にわたって学習し続ける文化の継承と人格形成や責任ある市民の養成」です。フィンランドではテストで順位などつけず、能力別クラス編成を行わず、子供同士が教えあい、議論しあう教育を実践しているといいます。同じレベルの子どもがいるクラスで学ぶよりも違いのある子どもどうしの学びあいが、成績のよい子にとっても、よくない子にとっても、より能力を高めるというのです。教師は上からの指導ではなくサポートに徹します。助け合いの教育であるため、いじめや不登校もないといいます。
今、日本では経済格差にもとづく学力格差が急速に進んでいます。家庭の経済力によって学力が固定する事態は避けなければなりません。荒川区でも是非、おちこぼれをなくし、自ら学ぶ意欲を育み、こどもの自主性を伸ばす教育に取り組んで欲しいと思います。
そのためには、フィンランドの教育に学ぶことも多いと思います。教育委員会の見解をうかがいます。
⑤ 次に、障がい者差別をなくす条例制定についてうかがいます。
昨年12月13日ニューヨークの国連本部において 障害者権利条約が加盟192カ国の全会一致で採択されました。日本政府は、時期は未定だが、できるだけ早く署名したいとしています。   
障害者の権利条約は、人間誰もが持っているはずの権利が障害者には保障されてこなかった実態に着目し、実質的な平等を保障することをうたったものです。
障害を理由に雇用や入学を拒むことなどを禁止するとともに、受け入れ環境を整備するなど必要な変更・調整、すなわち合理的配慮をすることで平等に扱うよう求める、画期的な条約に障がい者の期待が高まっています。
これに先立つ昨年10月11日、千葉県で「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が成立しました。条例の前文には「今、私たちに求められているのは、障害のある人に対する福祉サービスの充実とともに、障害のある人への誤解や偏見をなくしていくための取り組みである。この取り組みは障害のある人に対する理解を広げる県民運動の契機となり、差別を身近な問題として考える出発点となるものである。そして、障害のあるなしにかかわらず、誰もが幼いころから共に地域社会に生きるという意識を育むのである」とされています。条例制定は、2004年7月に策定された千葉県障害者計画を契機に、公募委員を含む障害者差別をなくす研究会を立ち上げ、差別をしがちな側とされている企業人も交えて、何が差別かを議論しあうことから始まりました。800を超える差別事例を題材に解決方法を検討したそうです。各地でタウンミーチィングを重ね、条例案を創り上げ、議会で何度も議論を重ね、多くの人々が傍聴する中、条例は成立しました。条例が制定される過程が非常に重要であり、条例ができたからと言ってすぐに差別がなくなるわけではありません。しかし、「障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくす取組」と目的が示された意義は大きいと考えます。先進的な千葉県の取組みの過程は感動的です。私たちの荒川区でも、区内随所で障がい者も共にという活動が行われています。西川区長も障がい者が暮らしやすい街づくりに熱心に取り組まれています。さらに、もう一歩進めて、何が差別と感じるかを知り、障がい者を理解するために、障がい者差別をなくす条例制定に着手してはいかがでしょうか。制定過程は様々な困難が予想されますが、得るものも大きいと思います。区の見解をうかがいます。
       
⑥ 最後に高齢者の住まいについてうかがいます。
日本に先んじて高齢社会を迎えた北欧では、特養ホーム建設は初期段階で取りやめ、思い出の品々に囲まれて車椅子でも暮らせるワンルームマンションやケアつき住宅の整備を行いました。歩いて通えるディセンターとヘルパー派遣、そして在宅で医療を受けられる地域医療チームの整備に取り組み、年老いても、尊厳を持って地域で暮らせる社会を実現しました。
私は、2005年第3回定例議会決算委員会で高齢者の住み替え支援について質問しました。荒川区のマスタープランで必要とされた高齢者住宅180戸はすでに整備してあるが、住まいについての相談数が多い現状をふまえ、介護サービスの提供を受けられる住まいを検討するというお答えでした。現在、新たな荒川区住宅マスタープランの策定が進んでいると聞いています。
そこで、まず、2001年に策定された荒川区住宅マスタープランに盛り込まれた施策、すなわち高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の登録、新築あるいは都営住宅建て替え等にともなう高齢者向け住宅の供給、また、高齢者の資産活用(リバースモゲージ)として、土地や住宅を担保にして生活資金の融資を受けられる制度の活用などの進捗状況をうかがいます。区民のニーズに応えられているでしょうか。
多くの高齢者は現在の住宅に住み続けることを望んでいます。しかし、介護に適しているとはいえない住宅が多いのが現実です。今後は、これまでの質素倹約を旨としていた世代とは違った意識やライフスタイルを持つ高齢者が増え、「住続け」だけではなく、高齢期にふさわしい住宅への「住替え」がクローズアップされることが予想されています。
 区として、高齢者の住まいについての施策をきちんと検討することが必要ではないでしょうか。介護が必要となる前に、老後の住まいへの選択肢を提示し、主体的に老いを迎える準備をするよう情報提供が必要だと考えますが、いかがでしょうか。さらに、高齢者の住まいの相談窓口の設置が必要と思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。
 さらに、高齢者が在宅で老後を過ごすには、医療と介護の連携が必要です。療養病床の廃止計画がしめされ、このままでは4万人の介護難民がでると危惧されています。行き場のない高齢者に地域生活が営める受け皿を用意する責任を行政は負っています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることを目的とする、厚生労働省の地域ケア整備構想ですが、住まいはどうするのか、地域での見守りができるのか、在宅医療は整備できるのか、等々心配の種はつきません。
 世田谷区は「在宅医療電話相談センター」を今年4月から開始し、6月、医師会との協力で、高齢者が安心して在宅で生活することができるよう、在宅医療のネットワークづくりや、在宅療養への支援策について協議する機関「医療連携推進協議会を設置しました。医療の「ショートステイ事業」を7月中にはスタートする予定で、在宅患者の医療ケアと急変時のベッドを確保する機能をあわせもったしくみを構築していくとされています。
 荒川区の対策はいかがでしょうか。おきかせください。
 

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