ボケない!生き方

 ~3万人の痴呆診療からの実証
金子満雄著  海竜社
 多くの著作がある金子先生だが、この本は、認知症が治った具体例が書かれているので、非常に参考になる。右脳を刺激する、その人にあった脳リハビリが効果的らしい。うちの母にさっそくトランプ「カシーノ」も勧めてみよう。
 40・50代にも自分に合った、人生の楽しみを見つけておきなさいと説く。
 母は我慢・ひかえめが美徳とされた時代を、さらにもったいないの精神で生き抜いてきた世代である。人生を楽しむなどどいう感覚を持ってはいない。東京に来て、何がしたい?と何回も問うたら、「歌舞伎がみたい」。行きたいところは?「皇居」。というわけで、さっそく、国立劇場のチケットを取ってもらって「何十年ぶりやろ~」と観劇し、皇居のお堀を眺めてきた。
 毎朝、前の日に何をしたかを思い出しながら弟にはがきを書き、郵便ポストに出しに行く。道すがら、路地の紅葉や花々を楽しむ。和菓子を買って帰って、お薄を立て、「ほんま、おいしいなあ」というのが日課である。
 母は小学校の時、家族麻雀をしていたという。健康マージャンのリーダーさんに、個別指導に来てもらうことになった。そのうち、健康マージャン教室に出かけたりできるだろうか。
 先日、老健ひぐらしの里の歌声サロンに参加した時、母の表情が乏しいことに愕然とした。その時の隣の座席の95歳の方のように、楽しい表情で歌うようになるだろうか。
 ピアノのバイエル教本をみながら、ポツポツと弾いている後ろ姿に、これからどうなることかと心配ながら、まあ、「なっても安心、認知症」と思う。

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