健康格差社会

・・・何が心と健康を蝕むのか 近藤克則著 医学書院
 「健康教育は『無駄なキャンペーン』?」とある。生涯健康都市宣言を行い、健康教育や介護予防教育に必死に取り組もうとしている荒川区にとっては聞き捨てなら無い内容である。たとえば転倒予防教室には元気な人が繰り返しやってくることが多く、危険因子をもつ人は引きこもりがちといわれると、確かにそうだといわざるをえない。
 所得格差が広がれば、不健康な人が増えるそうだ。助け合いの行き届いた社会は貧しくとも健康度は高いらしい。社会疫学という学問分野での研究だというが、注目していきたい。
 
 著者は健康教育の効果は検証されていないという。「病は気から」というのも否定できないという。
 基本的には経済的に豊かな国のほうが健康的だが、ある程度の経済水準を越えれば、地域コミュニテイの豊かさが、健康度を高めるという。日本が健康寿命世界一なのは、経済大国であることも要因ではあるが、平等で地域コミュニテイが豊かであることが他の国よりも勝っているからだというのだ。
 そして、経済格差が広がっていることが言われている今、格差社会は「負け組」だけでなく「勝ち組」をも不健康にするという。
 社会疫学の立場からは、経済格差は不健康を助長するものだということらしい。
 小泉改革は、国民の健康をも奪うものなのか・・・・。

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