Category Archives: きよの「ちょっと聞いて」

ともに育ちあうために

 あと1日で2005年が終わろうとしている。今年の締めくくりに言っておきたいこと。
 今年の荒川区の人権週間事業「講演会」
   障害のある子もない子も
     ともに育ちあうために
       
 ~今、私たちができることを考えてみませんか~   
               12月7日ムーブ町屋
 講師の海津 敦子さんは、アメリカで障害をもった子を授かり、日本に戻ってきた。アメリカでは、「あなたがどういう子育てをしたいの」と聞かれることから、支援が始まったという。しかし、日本では、障害児をもったら親は自分のしたいことはあきらめるのが当然といわれてショックを受けたという。
 障害をもつ我が子とつきあうことは、自分自身の価値観を広げること。
 できないことばかりではなく、できることに目をむけてほしい。
 荒川区の普通学級に通う、障害をもつ子の親は学校や区教委との話し合いを学期ごとにもっている。そんな時、「こんなにできないことがいっぱいある」と言い立てられるのが悲しいと何人もの親から聞かされてきた。普通学級にいることがそんなに悪いことなのか・・・と。
 海津さんの講演を教育委員会はどう受け止めただろうか
 障害をもつ子ども達を普通学級に原則受け入れようという、特別支援教育に向けて準備が始まっている。教育委員会の主催(荒川区・荒川区教育委員会・荒川地区人権擁護委員の主催)で行った講演なのだから、よく検討して実践して欲しいと切に願う。
 参加した方から寄せられた、講演のメモを紹介したい。
 

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請負と派遣<給食の委託>

 昨年3月から製造業にも人材派遣が拡大されたことに伴い、労働局では、請負・派遣適正化キャンペーンを行っている。
 学校や保育園の給食は業務委託=請負として位置づけられ、委託内容が決まれば、それをどのような人事で行うかは、発注主(区)が指示することはできない決まりである。
 東京労働局の見解では、仕様書に調理員や栄養士等の資格を書くのはかまわないが、経験何年以上と書くのは、個人の特定につながり、「派遣」となるので、好ましくないという。ただし、プロポーザルなどにより、事前に企業の意向が確認できていれば差し支えないのだという。
 「いい給食をつくってもらうためには、学校や保育園での経験豊富な調理師でないと」という当然の保護者の願いを、仕様書に反映させることは、法律違反となる可能性があるのである。
 給食は、化学調味料をつかわず、すべてに手づくりを優先させている。食材は国産に限り、できれば泥つきの有機野菜を使いたいところである。ふつうの大量調理に慣れている調理師では感覚が違うはず。
 学校や保育園を専門とする調理師・栄養士により構成される企業ならまだしも、冷凍食品を使う一般企業の食堂と人事交流があるような企業で、大丈夫なのかと心配してしまう。
 また、請負契約では、業務中に発注主から直接指示を受けることがないよう、あらかじめ書面が作成されていなければならない。だから、保護者説明会で「当日のこどもの体調に合わせた調理内容の変更を、保育士から調理に指示ができるのか」という質問に対して、区は「連携のために会話を交わすのは指揮命令でなく、コミュニケーションである」と答えている。
 仕様書に、こどもの成長や体調に合わせた給食の提供と書けば、指示はコミュニケーションになるらしい。
 区に所属する栄養士は、調理の出来具合のチェックしかできない。学校で栄養士が、調理室に入って一緒に調理していると聞くが、これは法律違反なのである。子ども達にいい給食をと思うと法律違反になるという、栄養士の痛みが、なんとも空しい。
 こどもの食をあづかる、大切な仕事に従事してもらう人たちである。食育の大切さが叫ばれる今日この頃、低賃金で入れ替わりが激しい職場だなどということのないように、自治体もいい業者を育てるよう対策をとり、社会も認識をもつ必要があるのではないだろうか。

保育園給食委託各区の状況

 23区のうち、民間委託が始まっているのは9区。契約方法についての調査結果を教えて欲しいと区にお願いしたら以下の回答があった。
 プロポーザル  4区
 随意契約     1区
 見積もり合わせ 1区
 指名競争入札  3区
 「これ以上は、教えられない」とのこと!契約方法はどの区も公開しているはずだから隠すこともあるまいと思うのだが・・・・。
 荒川区では、今のところ、調理員の入れ替わりが激しい会社が多く、心配な民間委託やむをえずという状況だが、どうやって、質の高い給食を提供してくれる会社を選ぶのか・・・。
はじめ、区は一般競争入札で選ぶとしていたが、「一般競争入札では、あまり条件をつけられない」と言う声があがり、指名競争入札の可能性を示唆するようになった。
 企業が自らの業績と方針を提示する、プロポーザルのほうが、より質の高い業者を選ぶことができるのではと思う。
 そこで、各区に問い合わせてみた。
足立区 2000年~ 指名競争入札 14業者を選定 2年目からは5年間随意契約
     新規業者の参入は、実績を判断して決める
     年に一度、園長・業者・課で意見交換会を行う
     非常勤栄養士1名を配置
板橋区 2003年~ プロポーザル 
     都内で保育園で実績ある業者を栄養士が書類選考で5社に絞り、
     選考会を開催。
     部長・課長・園長・保護者代表(人数も各園で決める=普通各クラス1名)が
     点数をつけ、その場で高得点を得た業者に決定。
     業者・園長・保護者による連絡協議会において評価し、
     継続を決定。
     非常勤栄養士1名配置
                板橋区は保護者の意見反映が大きいようだ
   
 

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自治体改革

 北川正恭氏(早稲田大学大学院教授・前三重県知事)と田中大輔氏(中野区長)のトークセッション(12月16日中野サンプラザ)に参加した。
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 いままでのようなあてにならない公約ではなく、政治家の事後検証可能な公約、財源や数値を明確にした「政権公約」が『マニフェスト』だと北川氏が提唱。このあいだの国政選挙でも各党がつくり始めた。ローカル・マニュフェスト首長連盟には、23区では、中野・目黒・杉並の3人の区長が参加している。
 中野区長は、「持続可能な区政・徹底した情報公開と手ごたえのある区民参加の区政をつくる」と掲げているので、私は注目している。
 トークセッションは、お二人の熱い思いは感じたものの、あまり議論は深まらなかったように思う。中野区長選挙を半年後に控え、今後に注目したい。
 荒川区では「荒川区を刷新する会が実現を目指す政策」を掲げて西川区長が誕生した。従来型の公約ではあるが、48項目の多岐にわたる。
 たとえば、1、入札制度の抜本的見直しと契約のチェック組織の導入 のうち
◎区内産業への配慮をした制限付一般競争入札制度を原則とし、指名競争入札制度は廃止へ    実現済み
◎障がい児者、環境に配慮した透明性の高い公開調達制度の導入
どうなっているの?と聞いても、「???」という感じで検討課題にもなっていないように見受けられる。
あてにならないのが「公約」といわれてきたが、さて、西川区長の場合は?
 

12月に思う

 もう今年も師走。区内で開かれた12月恒例の集いに参加した。
 
 ひとつは、さつき会館で行われた森谷新さんの講演会、「改憲は誰のためのものか」。毎年12月8日の開戦の日前後の反戦反差別実行委員会の取り組みである。
 
 先日発表された自民党の新憲法草案は「自衛軍」と明記し、海外派兵を盛り込んだ。来年そうそうにも、改憲のための国民投票法案が上程される見込み。10月5日の毎日新聞世論調査では、9条改正賛成は30%。反対62%。国民が改憲を望んでいるわけではない。
 そもそも、「押し付けられた憲法」という声があるが、白鳥敏夫(A級戦犯=イタリア大使)が巣鴨刑務所に服役中、吉田外相あて書簡で「戦争放棄」の憲法制定を進言。幣原喜重郎首相が白鳥所書簡を元にマッカーサーに提案し、連合軍司令部の憲法草案がつくられた。この憲法草案については国会でさかんに議論された結果、現憲法が制定された。
 改憲こそ「米国の押し付け」ではないか、と森谷さんは言う。地域・職場での運動を、と。
 国民誰もが平和を望んでいる。(戦争で儲けたい人は望んでいないかもしれない)
 人の命が何より大切。軍隊なんかいらない。
 次は、アクロス荒川での、障害者も高齢者も歌や踊りの輪でつながる、コール・コアラの「クリスマス会」。一人一人が主役であり、実行委員でもある、心温まる手づくりコンサートをありがとう。
 そして、区民による「交響曲第9番」。力のこもった合唱だった。小学生の男の子も一生懸命歌っていたのもすばらしい。
 平和だからこそ、歌を、踊りを、オーケストラを楽しむことができる・・・・。